自組織の内部・外部の環境分析が終わったら、その環境下において自組織を強化し競争相手に勝つためには、いったいどのような課題があるかを明確にする必要がある。
そのためには、競争相手と相対的に比べたうえで、自組織にとってのSWOT分析を行う必要がある。
SWOTとは、強み(Strength)・弱み(Weakness)・機会(Opportunity)・脅威(Threat)のそれぞれの頭文字である。
強み・弱み・機会・脅威については、それぞれの分析項目について、単に競争相手と比べてどうかということではなく、強み・弱み・機会・脅威としてどのように扱うべき要素かという視点で分析すべきである。
私は、まずはじめに、我々のチームの強みについて分析した。
その結果は、思考能力と理解力が競争相手に比べてかなり高いレベルにいること以外、これと言って強みは考えられなかった。
次に弱みについての分析は、個人スキルであるファンダメンタル、フィジカル、スピード、体力(スタミナ)などあらゆる側面で劣っていたし、これは将来的に観てもなかなか解決できる課題ではないと思われた。
ここまでの分析では、自組織が強くなり勝つことができる要素は、残念ながらなかなか見出せなかった。
しかし、機会について分析してみると、思いもよらない要素が浮き彫りになってきた。
それは、組織的行動や組織体制、事前の準備(練習メニューや量、そのタイミング、競合分析、戦術など)については、ほとんどの競争相手が行っていないという事実であった。
つまりこの要素は、我々ができるようにさえなれば優位に立てる。
要するに機会(チャンス)であるということである。
さらに、試合当日の行動についても、個人個人がバラバラに行なっているだけで、組織的な準備(アップ)であるとか、試合運びや戦術の指示などはあまりできていない状態であった。
また、競争相手の分析や自チームとの比較なども行われておらず、この点でも機会(チャンス)があると思われた。
そして、ここで強みとして捉えていた、思考能力と理解力が高いという要素もこの機会と合わせて使えるのではないかという一縷の光が見えてきた。
最後に脅威について分析してみた。
自組織における脅威は、力勝負になることであった。
つまり、弱みで捉えた個人個人のスキル要素での勝負になった場合、まず間違いなく太刀打ちできないということである。
また、勝ち癖がないための自信不足も重大な問題であった。
そしてある意味、我々自組織が競争相手に実力を認められ、相手がやる気、本気になってしまった場合には、現時点ではまったく対応する術がなくなってしまうことが最大の脅威であった。
このSWOT分析を通して総合的に解ったことは、我々は、試合において個人個人の戦いになったら最後、まったく勝負にならないということ。
しかし一方で組織的な準備、行動、考え方を屈しすれば十分に勝負になるということであった。
そして、特に肝心なことは、競争相手に認められ、相手が本気にならないようにすること。
つまり、能ある鷹は爪を隠すべきであるということであった。
【文責:島村保行】
【監修:松原寛樹】
弊社コンサルタント島村保行がコーチをしているバスケットボールチームでの体験談を基に組織力強化のエッセンスを解説いたします。
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